FIELD NOTES
机上ではなく、現地から。
健康も、土地も、歩いてみないと分からない。
研究と実践のあいだで、訪ねた場所の記録。
記録
2026.8.30
高円寺 — 指揮者は鉦だった
東京都杉並区
高円寺の阿波踊りへ。はじめは、同じ調子のまま練り歩く祭りだと思って見ていた。違った。ゆっくりとした流しが、合図ひとつで激しい乱舞に変わる。静から動へ。この落差が祭りの核で、二時間の立ち見でも飽きることがなかった。合図を出していたのは鉦だった。太鼓でも笛でもなく、あの高く鋭い金属音が連全体の足を揃え、速くなるときは真っ先に鉦が速くなる。指揮者の音をみんなで聴くこと。祭りの一体感は、そこから生まれていた。

2026.8.28
甲府・松本 — 人の流れはレールに似る
山梨県甲府市・長野県諏訪市・岡谷市・伊那市・塩尻市・松本市
大学の仕事で、甲府から諏訪、岡谷、伊那、塩尻、そして松本へ。武田信玄の城下町に始まり、最後は松本城の黒い天守を見上げた。堀端では、聞こえてくる言葉の半分が外国語だった。ホテルの値は張り、品書きには英語が並ぶ。ところが電車で三十分の諏訪や伊那に観光客の姿はほとんどなく、かわりに工場のある町では、アジアから働きに来た人たちとすれ違う。観光の国際化と、労働の国際化。同じ県の中を、二つの違う流れが走っていた。人の流れは水のようには広がらない。レールのように、決まった線の上を走る。この土地に三十年暮らした方の話も聞いた。景色の価値と、暮らしの価値は別のものだという。旅人と生活者では、同じ町がまるで違って見える。どちらの目も持って、歩いていきたい。




2026.8.21
松戸 — 溢れたのは川ではなかった
千葉県松戸市・柏市・千葉市・八街市・茂原市
豪雨から一週間の千葉を、大学の仕事の合間に歩いた。松戸の坂川沿いを下る。この災害で国管理河川の氾濫はゼロ。それでも千葉市には二十四時間で三百六十ミリを超える雨が降り、街は水に浸かった。溢れたのは川ではなく、雨を吐き出せなくなった街の側だ。護岸には泥の線が残り、排水ポンプは何事もなかったように静かだった。道路も商店もすでに元通りで、一週間あれば街の見た目は戻る。戻らないのは機能のほうだった。水害の健康被害は、水が引いたあとに始まる。片付けの熱中症、傷から入る菌、数日遅れて出るカビ。復旧の指標を「道路が通れる」で終わりにしないこと。




2026.8.7
青森 — 三つの祭りを歩く
青森県五所川原市・弘前市・青森市
津軽の三大夏祭りを、すべて歩いた。ヤッテマレ、ヤーヤドー、ラッセラー。掛け声も太鼓も街ごとに違い、沿道は熱気に満ちていた。三つを続けて見られる人は、そう多くない。東北の先行きを危ぶむ声もあるが、この熱気の中に立てば、心配は薄れる。青森がこれからも盛り上がるように、足を運んで応援する。大学の仕事でも自分の事業でも、この土地の人たちへ最新の有益な情報を届けていきたい。



2026.7.31
鶴岡・酒田 — 庄内平野を歩く
山形県鶴岡市・酒田市
大学の仕事で、庄内へ。鶴岡と酒田、二つの街を歩いた。日本海からの風と、夏の稲の緑。土地を踏むたび、伝えられる言葉が増えていく。




2026.7.30
仙台 — 進路の現場へ
宮城県仙台市
大学の進路指導の仕事で、仙台市内の高校を訪ねた。スポーツで結果を残した生徒も、リハビリや医療の道を志す生徒も、「次の一歩」はひとりずつ違う。数字にならない熱が、教室にはある。


足あと
記事にしなかった訪問も、ここに。
- 2026.7
福島(白河・郡山・須賀川) / 群馬(伊勢崎) / 栃木(那須烏山) / 埼玉(さいたま) / 千葉(千葉・市川・松戸) / 東京(大田・練馬・文京)
- 2026.6
北海道(ニセコ) / 群馬(前橋・高崎・桐生・太田・吾妻) / 栃木(宇都宮・日光) / 茨城(水戸・常総・つくば・筑西・下妻) / 埼玉(東松山・越生・鷲宮) / 千葉(千葉・市川・八千代・流山・四街道・土気) / 東京(大崎・八王子) / 山梨(富士河口湖・上野原)
- 2026.5
群馬(桐生) / 栃木(宇都宮・足利) / 茨城(かすみがうら・土浦) / 埼玉(松伏) / 千葉(九十九里・市川・船橋・千葉・松戸・八街・四街道) / 東京(上野・江戸川)
- 2026.4
群馬(高崎・館林・邑楽) / 栃木(小山・佐野・宇都宮・鹿沼・茂木・真岡) / 茨城(取手・鹿嶋・鉾田・土浦) / 千葉(市川・船橋・銚子・匝瑳) / 沖縄(宮古島)
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